放置すると危険な高血圧
放置すると危険な高血圧
前回の循環器だよりで高血圧のメカニズムをお伝えいたしました。
今回は高血圧症を放置し適切な診療を受けなかった場合のリスクについてお伝えします。
高血圧は自覚症状がほとんどなく、知らないうちに進行し、心臓、脳、血管、腎臓などの多くの臓器のダメージを蓄積し、気づいた時には合併症が進んで治療に時間がかかる、もしくは心筋梗塞や脳卒中、腎不全などの重大な病気を引き起こすリスクが高くなります。
高血圧が引き起こす主な病気として、心臓疾患は心筋梗塞や狭心症、心不全など、脳疾患は、脳梗塞や脳出血など、腎臓疾患は腎不全や慢性腎臓病など、血管疾患は、動脈瘤や動脈硬化などがあります。いずれも命にかかわる、もしくは後遺症が残るなど生活が一変してしまうような疾患です。
高血圧を放置すると心臓にはどのような負担がかかるのでしょうか。
心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしています。高血圧により血管に強い圧力がかかる状態が続きます。この状態が続くと心臓はだんだん疲れて弱っていきます。
血圧の高い状態が続くと、心臓の筋肉が厚くなり「心肥大」となります。進行すると心臓が十分に血液を送り出せなくなり「心不全」を引き起こします。
また、動脈硬化が進み心臓の血管が狭くなると「狭心症」を起こすことがあります。
血管が完全に詰まる「心筋梗塞」となれば、命にかかわる大きな疾病です。
脳にはどのような負担がかかるのでしょうか。
脳疾患の脳卒中は、高血圧の進行により血管が狭窄して詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」などです。脳卒中の約半数程度が高血圧に起因すると言われています。同時に血圧が上がるほど脳卒中のリスクが高くなることは研究でも証明されています。
また、脳梗塞の発症は血管性認知症の主要な原因になることも知られています。
腎臓にはどのような負担がかかるのでしょうか。
腎臓は細かい血管がたくさん集まっている臓器です。そのため高血圧による血管のダメージを受けやすいのです。高血圧は糖尿病に次ぎ腎臓へのダメージが多くかかる疾病と報告されています。
腎臓は血液をろ過し、尿として老廃物や余分な水分を外に出す役目や体内の体液量や電解質のバランスを調整する役目など、様々な働きをする臓器です。
高血圧によって腎臓の血管がダメージを受けて縮んで狭くなり血液の流れが悪くなると老廃物をうまくこし取ることができなくなります。そうして腎臓の働きが悪くなると排泄されない余分な水分が体の中に溜まり、それがさらに血圧を上げるという悪循環に陥ります。
また、腎機能の低下が進むと、人工透析になったり腎移植が必要になることもあります。
健診で「高血圧」と指摘されたのに放置していませんか。
家庭で血圧測定をして血圧が高いのに放置していませんか。
冒頭でお伝えしたように高血圧ははっきりとした自覚症状はありません。「サイレントキラー」と呼ばれる所以です。
若い方でも生活習慣やし好によって高血圧になることがあります。また、血縁に高血圧の方がいらっしゃる方やストレスの多い生活をされている方は注意が必要です。
自己判断せず「高血圧外来」で専門医に相談して下さい。適切な治療を受けることで高血圧による深刻な疾病を予防できる可能性が高まります。適切な血圧コントロールで将来の高血圧リスクを軽減し、健康寿命を延ばしましょう。
