健康診断の二次精査(心電図異常)とは
健康診断の二次精査(心電図異常)とは
健康診断の二次精査とは、職場の健診、個人で受けた人間ドックや健診で、健康状態に問題がある、もしくはその可能性が高いと判断された場合に精査をするために受ける検査です。健診の結果に「要経過観察」「要精密検査」と記載されていれば、さらなる検査を専門医で受けることが推奨されます。
健康診断は健康管理の為に大変重要ですが、健診結果で二次精査を受けるよう指摘されても「忙しくて時間がない」「特に自覚症状がないので急いで検査する必要はない」と放置していれば、せっかく早期発見のために受けた健診の意義が薄れてしまいます。自覚症状がないまま進行していく疾患もありますので、二次精査を勧められたら早めに専門医を受診されることをお勧めします。
健診で心電図異常と言われ、二次精査で受診される方が多くおられます。
心電図でわかることは多いのですが、心臓の全てのことがわかるわけではありません。
心臓は電気信号で動いていますが、その電気信号の様子を記録するのが心電図検査です。心電図の波のリズムが不規則になると不整脈が疑われます。また、心筋の電気信号の異常から心筋梗塞や狭心症の発作を確認することができます。
しかし、心電図検査では心筋症や弁膜症などの心臓の形の異常や心筋梗塞の原因である血管の狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管がつまる)などはわかりません。心電図検査では心臓の形を直接見ることはできませんので、構造的心疾患の診断や重症度の判定のためには、形を見ることが得意な「心臓エコー検査」や「冠動脈CT検査」「冠動脈MRI・MRA検査」などの画像検査で精査をすることが大変重要です。
心電図が乱れるのは、何らかの疾患が潜んでいるサインかもしれません。早期に発見し治療することで命にかかわるリスクを減らすことができます。
心電図検査が最も得意とするのは「不整脈」の診断です。「不整脈」とは病名ではなく、さまざまな病気を含んだ総称です。そのうち約9割は怖くない不整脈ですが、注意すべき不整脈かどうかを精査するために二次検査が必要です。
注意すべき不整脈の一つに「心房細動」があります。
心房細動は、心臓の中の血液をためる部分の「心房」が電気的な異常により細かく震えて脈が不規則になってしまい、治療せずに放置していると、心房細動の時間と頻度が増していき、慢性的な心房細動の状態になってしまう方が約半数と言われています。
また、心房細動を放っておくと、脳梗塞を起こす確率が約5倍、心不全になる確率が約4倍になることもわかっています。心房細動を放置して脳梗塞や心不全になると、命にかかわる場合もあります。
心房細動が脳梗塞につながるのは、心臓の中で血液がよどむことで血の塊の血栓ができ、それが脳に飛んで血管を詰まらせるためです。
また、心房細動により脈が乱れると血液を押し出す力が低下し、心不全を引き起こすことがあります。
そういった命にかかわるような事態に陥らないよう、早めに専門医を受診し、精査し、必要であれば治療を行っていただくことが大切です。
健康で充実した生活を送れるよう、身体が示したサインを見逃さず、きちんと現状を把握するように心がけましょう。