虚血性心疾患について
虚血性心疾患について
10月17日に死去された俳優の西田敏行さんの死因は「虚血性心疾患」と報道されました。急性心臓死は突然死の中で最も多い自然死の一種です。前日まで通常と変わりなく生活されていた方が突然亡くなられるのはとてもショックな事です。
「虚血性心疾患」とは、動脈硬化や血栓などで心臓の冠動脈が狭くなったり詰まったりして心筋に血液がいかなくなる心筋虚血で起こる病気です。「狭心症」や「心筋梗塞」などの病名は聞き覚えがあるのではないでしょうか。
狭心症の症状は、「締め付けられたような胸の痛み」「押さえつけられたような痛み」「何とも言えない胸の違和感」などで、痛むのは前胸部、みぞおち、肩部や背中、また歯が痛むこともあります。痛みの続く時間は短く、就寝時、起床時、運動時など人それぞれです。痛みが持続しないのでそのまま放置してしまい、症状が悪化し、手術をしないといけない状態になる場合もあります。
心筋梗塞は、狭心症と同様に胸の痛みが発生しますが、より激しく長い時間痛みます。早期に対応しないと生命に危険が及ぶ可能性があります。
しかし、高齢者の方や糖尿病患者さんの中には、約2割の方が痛みを感じないというケースがあります。知覚神経が衰えたり糖尿病の合併症で知覚神経が障害されると心筋梗塞の発作時にも痛みを感じられないことがあります。心臓の血管には障害があるのに痛みを感じなければ、サインを見逃し、治療が遅れてしまう恐れがあります。
胸の違和感がある方はもちろん、ない方でも虚血性心疾患のリスクをお持ちの方は早めの受診で医師に相談し、検査を受けて、ご自身の心臓の冠動脈の状態を把握することが大切です。一度詰まってしまった血管は元には戻りませんが、動脈硬化のリスクを減らし、日常生活でも気をつけて生活をすることで心筋梗塞の発症を予防することは可能です。
日常生活では、過食・塩分過多・糖分過多、飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどに気をつけ、規則正しい生活を送ることが大切です。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症は動脈硬化を引き起こします。動脈硬化で硬くなった血管内の内膜に悪玉や石灰化がたまって血流が狭くなる(プラーク)、または血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなります。それが心臓の冠動脈であれば「虚血性心疾患」となるのです。
動脈硬化は中高年の人に生じる病態と思われがちですが、実は小児期から徐々に進行している場合もあります。そのため若いときから動脈硬化の進行を予防することが大切です。
良くない生活習慣を長年続けていると様々な生活習慣病に罹患するリスクが高まり、そのまま治療せずに放置していると突然死につながる場合があります。
症状が出る前に心臓の冠動脈を一度精査してみてはいかがでしょうか。