法人の皆さまへ

医療関係者の皆さまへ

0120-929-489

078-367-7222

受付時間 8:30~17:30
年末年始・日祝を除く

循環器だより

急性大動脈解離・大動脈瘤とは

急性大動脈解離・大動脈瘤とは

先日、落語家の笑福亭笑瓶さんが66歳という若さで大動脈解離のため死去されました。あまりに急なニュースに驚き、わが身に置き換えて心配されている方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の人口動態統計調査では、「大動脈瘤及び解離」の死亡者数は2000年には8千人ほどだったのが、2021年は1万9,351人と、約20年で2.4倍近く増加していると発表されています。
突然発症し、迅速に適切な処置を施さなければ死に至ることもある大変怖い病気です。発症後放置する時間が48時間以内では50%、1週間以内は70%、2週間以内では80%の高い確率で死亡するとの報告もあります。

突然死の恐れのある「急性大動脈解離」「大動脈瘤」とはどのような病気なのでしょうか。また、どういった予防法があるのでしょうか。

大動脈とは、心臓から送り出された血液が通る血管です。この血管は人体の中で最も太く、上行大動脈、弓部大動脈、下行大動脈と呼ばれるのが胸部大動脈です。

大動脈解離とは、大動脈の内膜に突然亀裂が入って、血管壁に血液が流れ込み、大動脈の壁が二腔構造になり壁が薄くなることで外膜が破裂することもある危険な病気です。大動脈解離は、何の前触れもなく突然胸や背中の激痛とともに起こります。解離の場所によっては早い段階で適切な治療を受けなければ命にかかわる危険があります。

大動脈瘤は、大動脈が部分的に大きくなる病気で、通常は20㎜から30㎜程度の大動脈が異常に膨らんだ状態になります。大動脈瘤はほとんどが無症状で、人間ドックなどで偶然見つかる場合が多いです。しかし、大動脈瘤が大きくなると、破裂し命にかかわる危険な状態に陥る場合があります。

大動脈解離も大動脈瘤も高血圧・糖尿病・脂質異常症・動脈硬化などの生活習慣病をお持ちの方、また、ストレス・喫煙・肥満といった要因をお持ちの方は発症リスクが高まります。

大動脈解離も大動脈瘤も発症リスクが高い方は人間ドックなどで定期的な検査をされることをお勧めします。特に大動脈瘤はほとんどが無症状で発見が遅れやすく、人間ドックなどのMRI検査やCT検査で偶然見つかる場合が大半だと言われています。

日本の高血圧患者数は全体として約4,300万人いると推定され、日本人のおよそ3人に1人が高血圧と言われています。高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を悪化させて、大動脈瘤や動脈解離などの死に至る病気を発症させる引き金となります。
そういった発症リスクが高い方が危険な状況に至るのを回避するには毎日の生活習慣を見直し、予防することが大切です。

①高血圧症
•塩分の取りすぎに注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。
(減塩のポイント)
*塩分の多い加工食品を避ける
*ラーメンなどのスープは残す
*酢やかんきつ類などを利用し、味にメリハリをつける
*減塩醤油などの減塩食品を活用する
*野菜や果物などを積極的に摂取する

•アルコールを控える

•適度な運動を継続的に行いましょう。

•投薬治療などを適切に行い、自身の血圧をコントロールしましょう。

②禁煙を心がける
•喫煙により動脈の炎症や収縮が引き起こされて動脈硬化が進展し血管壁の劣化が進みます。血液の流れが悪くなることで大動脈解離などを発症させる要因となります。

③肥満に気をつける
•肥満により動脈硬化が促進されます。規則正しい生活を心がけましょう。

➃人間ドックや健康診断を積極的に受けましょう。
•早期発見により破裂する前に適切な処置が可能です。

上記以外にも様々な要因により発症リスクが高まる可能性があります。ご心配な方は専門医へご相談下さい。

loading