心房細動と脳梗塞
心房細動と脳梗塞
私たちを取り巻く環境は「コロナ感染症」の影響や社会情勢などのストレスにさらされ、非常に不安定な日々が続いています。
そういったストレスは心身に影響を及ぼすことがあるというのは皆様もご存じでしょう。
また、春から初夏にかけては新しい生活がスタートしたり仕事や家庭が変化したりと、知らず知らずのうちに無理をして体調の変化が起こりやすい季節でもあります。
そんな時に気をつけていただきたいのは「不整脈」や「動悸」などの「心房細動」と思われる症状が表れた場合です。心臓のリズムが乱れて血液がうまく流れず血液が心臓内に停滞してしまう状態が「心房細動」です。こういった心臓の症状は高齢者の方が多いと思われていますが、30~50歳代の働き盛りの方でも珍しくはありません。疲れた時や睡眠不足の時、ストレスがたまった時にそういった症状が表れてもほとんどの場合すぐに治まり、発症の回数が増えても「またか」と軽視し、忙しいからと放置してしまう方が大半です。
ところが「心房細動」を放置していると徐々に発症の回数が増えて慢性化していく可能性があります。
心房細動が起こると血液が心臓内で停滞するため、血液凝固因子が活性化され血栓ができる危険性が高くなります。その血栓が心臓の血管で詰まったり流れが悪くなることが原因で狭心症や心筋梗塞を引き起こす場合があります。
また、血液の流れに乗って脳へと移動し脳の血管が詰まって血液が止まり脳梗塞が発症する場合もあります。これを「心原性脳梗塞」と呼びます。脳梗塞の15~20%がこの心原性脳梗塞と言われています。心原性脳梗塞は前触れなく突然発症し梗塞の範囲が広いのが特徴です。明らかな麻痺や意識障害を起こしやすく再発の可能性も高いため、命にかかわる危険な脳梗塞です。
以上のように血管障害による影響は心臓と脳と両方で発生します。脳に異常があった場合は心臓の検査は必須ですし、逆に心臓の障害があった場合は脳の精査も必要になってきます。
「ドキドキする」「息苦しい」「息切れ」や「胸痛」などの症状が起きたら、症状が治まっても軽く考えず循環器内科での早めの検査をお勧めします。命にかかわる大変な事態に陥らないよう、「転ばぬ先の杖」が大切です。