循環器だより

ブレインパフォーマンス(脳の健康度)について

ブレインパフォーマンス(脳の健康度)について

当院では、「健康でエネルギッシュに人生を謳歌する」ことを目標に三大疾病の(全身のがん)(心疾患)(脳疾患)の早期発見・予防の大切さ、人間ドックの有用性をお伝えしてまいりました。
人生100年時代をアクティブに、楽しく生きる。そのために重要なのが、身体と脳の健康です。
これまで体の健康においては、体重管理や食事、運動、睡眠など生活習慣の改善をはじめ積極的な取り組みがなされてきました。
一方、脳の健康は、管理するための指標も一般化されておらず、あまり意識されてきませんでした。
しかし、最近ではさまざまな研究の成果により、脳の健康を図る指標が検討されはじめ、ブレインパフォーマンスの維持向上は、将来的な脳の病気の軽減にもつながると言われています。
身体が100年生きる時代には、脳も100年生きることが大切です。実は身体と同じぐらい脳の健康を意識する必要があります。
脳は身体の司令塔です。脳の機能が衰えると、身体活動も精神活動もスムーズに運ばなくなります。特に記憶力、思考力、判断力などをつかさどる脳の機能は、日常生活の中で重要な役割を果たしています。充実した日常生活・社会生活を送るうえで、シニア世代だけの問題ではなく、すべての世代にとって重要なテーマです。

ブレインパフォーマンスの維持向上には、定期的なチェックとともに、定期的な運動習慣やバランスの良い食事、適度な社会とのかかわりや精神的な活発さを保つなど、ライフスタイルを変えることで脳のパフォーマンス低下を遅らせる可能性があるとの報告があります。

脳の健康度の維持向上につながる習慣として、
*適度な運動をする
*よく歩くことを意識する
*社会とのつながりを持つ
*バランスの良い食事
*趣味を持つ
*好奇心を持つ
*日常の中に知的活動を取り入れる
*適度な飲酒
*禁煙
*肥満を予防する
*しっかり休養をとる
*コミュニケーションを楽しむ
などが挙げられます。

逆に脳の健康度を下げる原因として、
*加齢
*高血圧
*糖尿病
*脂質異常症
*うつ病
*睡眠障害
*運動不足
*メタボリックシンドローム
*喫煙
*不規則な食生活
*ストレスや不安
*頭部外傷歴
などがあります。

毎日の暮らしの中で、できることから少しずつブレインパフォーマンスの維持向上のため日常生活の改善を図ってみてはいかがでしょうか。

ブレインパフォーマンス維持向上の12のポイント
① 定期的な運動
脳の活性化には、週に2回以上、1回30分以上、ウォーキングなどの有酸素運動を!
運動が脳の活性化に良いことが多くの研究で明らかになっています。おすすめはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動。スクワットなどの筋トレも筋肉量・筋力を維持し、脳の活性化を促します。
運動を習慣にするのは少し大変ですが、まずは週2回以上、1回30分以上のウォーキングなどから始めてはいかがでしょうか。
② 禁煙
喫煙者のブレインパフォーマンス低下リスクは非喫煙者の1.5~2倍!
脳にとってもタバコは百害あって一利なし。
喫煙者は非喫煙者の1.5から2倍も認知機能が低下しやすいことがわかっています。しかし年齢に関わらず禁煙を続けられれば、非喫煙者と同じ健康状態に戻ることができるともいわれています。
脳のためには1日でも早い禁煙を。自己流の禁煙が厳しい時は禁煙外来の受診もおすすめです。
③ 健康的な食生活
1日400グラムの野菜・果物と、魚など良質なたんぱく質を積極的にバランスよく!
健康的な食生活は脳の健康にも重要で、野菜・果物・魚は認知機能低下リスクに関連し、特に魚の消費量が多いほど記憶力低下に効果があるとされています。
ブレインパフォーマンス維持のためには、少なくとも1日400グラムの野菜・果物・魚など良質なたんぱく質を積極的に。旬の食材を使った「地中海食」や「日本食」もおすすめです。
④ 節度ある飲酒
1日ビール中瓶1本、日本酒1合が理想的。飲み過ぎには要注意!
過度な飲酒はブレインパフォーマンスの低下や200以上の病気の直接的な原因に。一方で、適度な飲酒はストレスを解消し、ブレインパフォーマンスの低下リスクも低くなるという研究報告があります。厚生労働省の「健康日本21」によると1日の飲酒量としては「ビール中瓶1本」「日本酒1合」「ウイスキーダブル1杯」が理想的とされています。
⑤ 体重のコントロール
肥満は認知機能障害の原因になることも。減量の基本は、食事改善と運動。
肥満と認知障害には密接な関係があり、特に中年期の肥満は認知機能の低下リスクを高めるという研究結果があります。しかし体重を減らすことで、認知症の発症リスクを減らすことが可能です。
太りすぎの人はバランスの良い食事を心がけ、ウォーキングなどの有酸素運動を習慣づけて、健康的な減量に取り組みましょう。
⑥ 血圧のコントロール
中年期の高血圧はブレインパフォーマンス低下の要因に。予防のためには減塩を!
日本高血圧学会の診断基準によると、診察室での収縮期(最大)血圧/拡張期(最小)血圧が140/90㎜Hg以上で高血圧。中年期の高血圧は高齢期のブレインパフォーマンスの低下リスクを高めることがわかっています。
高血圧は生活習慣の改善で予防が可能ですが、特に注意したいのが減塩です。男性は1日8グラム未満、女性は7グラム未満を心がけましょう。
⑦ 血糖のコントロール
血糖コントロールの改善で認知機能の低下リスクを減らして、認知症予防を!
糖尿病の人が血糖コントロールをせずに放置していると、認知機能の低下リスクが上昇し、さらに認知機能も低下することが報告されています。
しかし血糖コントロールを改善し、高コレステロールと高血圧を治療すれば、認知症の発症リスクを減らせる可能性が。血糖値に異常がある場合は、1日も早く治療を始めることが大切です。
⑧ 脂質のコントロール
コレステロールの増加は認知機能低下の原因に。食物繊維の多い食品を積極的に!
脂質異常で血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪など血中コレステロール値が上昇すると、認知機能低下の原因になるといわれています。
予防のためには肉の脂身、スナック菓子など飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食品を控えること。またコレステロールの排出を助けてくれる食物繊維を積極的にとることがおすすめです。
⑨ こころの健康の維持
うつ病で認知機能低下リスクが2倍に。積極的な休養を心がけ、睡眠は量より質を!
こころの健康はブレインパフォーマンスに大きく影響し、特にうつ病は認知機能の低下リスクを約2倍にするという報告があります。
こころの健康のためには積極的に休養を取り、睡眠は量より質を高めることを心がけて。睡眠の質を高めるためには、寝る2時間前にぬるめのお湯にゆっくり5分以上つかることもおすすめです。
⑩ 聴力の維持
中年期の聴力低下で認知機能の低下リスクも増大。予防にはコミュニケーションが大切。
イギリスの医学誌「ランセット」の調査によると、中年期の聴力低下が認知機能の低下リスクを約2倍に増大する一方、聴力低下の改善がブレインパフォーマンス低下リスクの軽減に有効であると報告しています。
聴力低下を予防するには、スポーツや趣味などを活用して、楽しいコミュニケーションをとることが大切です。
⑪ 知的活動への取り組み
最近の研究では、考える・記憶する・判断するなどの知的活動が認知予備力を刺激し、急速な認知低下を防ぐとしています。書籍や新聞、雑誌などを読む、映画や演劇、音楽を楽しむなど、日常生活の中で積極的に知的活動を取り入れていきましょう。
今の知的活動が10年後のブレインパフォーマンスを大きく左右します。
⑫ 社会的活動への参加
孤独感が認知機能を低下させることも。社会参加で認知機能の活性化を!
社会参加の減少や孤独感は認知機能の低下や認知症リスクの上昇に関連しています。一方、社交ダンスをする人は認知症発症リスクが0.24倍に減るという報告もあります。
ブレインパフォーマンスの維持のためには、現役世代のうちから、社会とのつながりを作っておくことが大切。地域コミュニティへの参加もおすすめです。

以上の12のポイントを意識した日常生活を送るとともに、定期的に脳の健康をチェックすることをおすすめします。

令和4年4月から実施しております「のうKNOW(のうのう)」では、タブレットで4つのテストを行うことによりブレインパフォーマンスを知ることができます。画面で表示されるトランプカードが自動的にめくられるので、「はい」「いいえ」で答えていただきます。自分一人でチェックが可能で、時間は約15分、操作は簡単です。
「のうKNOW(のうのう)」は、ドックのオプション項目としてご利用いただけます。
ファーストクラスドック・プラチナドックはドックの項目に追加いたしました。(追加料金なし)
自分のブレインパフォーマンスを意識することに早すぎるということはありません。自分らしく健康的な毎日を過ごし、幸せに長生きするために、今できることから始めていきましょう。
(エーザイ株式会社 「のうKNOW(のうのう)」資料を元に作成)