循環器だより

心不全パンデミック

皆様は「心不全パンデミック」という言葉をご存知でしょうか。
日本は世界でもトップクラスの超高齢化社会であり、平均寿命は世界第1位です。2025年には65歳以上の人口が30.3%、75歳以上が13.0%に達するとされています。
さらに、心不全の罹患率は高齢になればなるほど高くなることが知られています。米国の研究によると、50歳代での慢性心不全の発症率は1%であるのに対し、80歳以上では、10%になることが報告されています。
高齢者の増加に伴い、心不全患者さんが大幅に増加することを、感染症患者の爆発的な広がりになぞらえて「心不全パンデミック」と呼びます。
心不全パンデミック状態になると、入院が必要な心不全患者さんであふれ、病院が患者さんを受け止めきれなくなる事態や、莫大な医療費がかかることなどが予想されます。そのような事態を避けるため、日常生活において心不全を予防し、治療することが大切です。
日本循環器学会と日本心不全学会は「急性・慢性心不全診療ガイドライン」を発表し、心不全のステージを定義しています。
ステージA:心臓に異常はないが、心臓の異常が起こる確率が高い状態
ステージB:心臓に異常があるが、息苦しさはない状態
ステージC:心臓に異常があり、息苦しさを感じる状態
ステージD:治療することが難しい末期の心不全状態

心不全症状を発症するリスクがあるステージAとBの段階で、心不全の危険因子となる高血圧や糖尿病、脂質異常症などを早期発見・治療し、生活習慣を整えることが大切です。また、心臓弁膜症や心筋症、不整脈、冠動脈疾患などの心臓の異常を早期発見するためには、血液検査や心電図、心臓超音波検査、心臓MRI・心臓CTなどの検査が有用です。
早期発見、早期治療のためにも人間ドック等を利用し、定期的に検査を受けられることをお勧めします。また、何らかの症状がある方は循環器専門医へご相談ください。
身体のメンテナンスを心がけて健康寿命を延ばしましょう。